2004.9.21 第161号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 保険委員会だより ◆◆◆

診療報酬請求において、会員より査定に対する不満が委員会に多く寄せられています。わかる範囲内を委員会で検討してお知らせしますが、委員会は審査会ではないので、ご参考としてお目通し下さい。
*上部消化管内視鏡検査の前処置については、キシロカイン・ビスカス5〜10ml、キシロカイン・ゼリー3〜5ml、キシロカインポンプスプレー1mgが目安となっています。
*タケプロンなどのプロトンポンプ阻害剤は病名により用法及び投薬期間が異なります。再度ご確認下さい。
*パルクス注は心不全では慎重投与となっています。また、重篤な心不全は禁忌です。
*抗ヘルペス剤の内服・点滴・軟膏は原則として併用せず、何れか1種類を処方下さい。
*屯服薬は原則として1処方5〜6単位で1ヶ月15単位程度までとなっています。




◆◆◆ 適応外投薬問題について ◆◆◆

本ニュース第159号にて紹介した適応外投薬(バロテイン錠)に関する司法判断が出された問題が、先日行われた日本医師会の臨時代議員会(8月29日開催)でも話題となった。
倉西代議員(石川県医師会副会長)からの質問に対する答弁に立った松原常任理事は、「当該医療機関はその後、直ちに東京高裁に控訴をしており、近々審議がはじまる予定であるが、日医としても本件を注視しており、現在その医療機関と日医顧問弁護団、基金とで、あるべき姿はどのような形なのかを議論している。今回の判例は原則として能書の傷病名が記載されなければ、請求権が生じないということだが、原則でない場合は、「昭和55年通知」が今も生きており、薬理作用に基づいて有効性・安全性の確立した医薬品を処方した場合には保険適用になる。しかしながら、このことが全国一律に適用されているかというと、現実にはそうではない。玉虫色に見えるような通知を出したため、健保組合の中にはこれを認めないところもある。(中略)我々医師が患者に対して薬を出すときはあくまでも薬理作用を考えるのであって、効能効果の中にある傷病名に一致しているかどうかというのは、医学の問題ではなく請求上の問題である。あるべき姿は、やはり薬理作用に基づいて判断すべきだと考えているので、さらにこの点が明快になるよう努力していきたい」と応えた。
この問題については、かねてより医師の裁量権確保の問題に積極的に取り組んで来た武見敬三参議院議員が、こうした適応外投薬の問題がうるさく言われ始めた平成14年11月の厚生労働委員会において、「保険者の過剰介入は単に医師の裁量権を束縛するというだけではなく、患者に適切な医療を行おうとする医師の行為を阻むという重大な問題を引き起こすことになる」として、「昭和55年通知」の有効性を質したところ、政府参考人として答弁に立った真野保険局長(当時)は、「保険診療における医薬品の取り扱いについては、効能効果等により機械的に判断するのではなく、患者の疾患や病態等を勘案し、医学的な見地から個々の症例に応じて適切に判断が行われるべきものというふうに考えている」と応え、通知が今も有効であることを確認させている。
日医には今後も武見議員や自見代議士、更には今回から加わった西島議員等と団結をして、今回の代議員会での答弁どおり、この問題に全力で取り組んでもらいたい。
尚、言うまでもないが、適応外投薬を積極的に推奨したり、レセプトへの病名記載もれを肯定しているわけではないので、あくまでも原則を遵守いただくよう留意願いたい。




◆◆◆ 苦情相談事例について ◆◆◆

*事例3⇒A診療所に2年間勤めた看護師Bより、「解雇を言い渡されたので、C院長に勤務していた期間の証明書を求めたところ、求めていない事項(解雇理由等)まで記載された証明書の発行を受けたため、勤務期間だけを記載した証明書の再発行を依頼するが、『発行済み』という理由から応じてくれない」というもの。
労働基準法の第22条には、労働者が退職の際、「使用期間」「業務の種類」「事業における地位」「賃金または退職の事由」について、証明書を請求した場合、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならないことが定められているが、同条第3項には「労働者の請求しない事項を記入してはならない」ということも定められている。
C院長が証明書を発行する際、第22条に掲げられた事項をすべて記載しなければならないと勘違いをされたのか、あるいはどうしても解雇理由を書きたかったのかは不明であるが、いずれにしても、このケースについては看護師Bの主張どおり「使用期間」のみを 記載した証明書を再発行しなければならない。
尚、このように求められていない事項を記載した証明書を発行したり、求められているのに証明書自体を発行しない場合には、同法第120条による罰則規定(30万円以下の罰金)の対象となるので、ご注意願いたい。




◆◆◆ 訂正 ◆◆◆

すでにご案内しております下記講演会の内容に、一部誤りがありましたので、お詫びを申し上げますとともに訂正を致します。

医晋会福岡主催「医療政策講演会」(要申込)
*日時:9月23日(木)17時
*会場:福岡県医師会館 5階研修室
*演題:「日本の医療の現状について」
    自由民主党幹事長 安倍晋三
医晋会福岡主催「医療政策講演会」(要申込)
*日時:9月23日(木)17時
*会場:福岡県医師会館 5階研修室
*演題:「日本の政治の現状について」
    自由民主党幹事長 安倍晋三
「小倉内科医会実地医家シリーズ講演会」
*日時:9月29日(水)19時
*会場:小倉医師会館
   4階 第二会議室
「小倉内科医会実地医家シリーズ講演会」
*日時:9月29日(水)19時
*会場:リーガロイヤルホテル小倉
   4階 ロイヤルホール