2013.8.6 第312号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



社会保障制度の抜本改革へ
先の参院選で与党が圧勝し、国会におけるねじれ状態が解消され、今後3年間は国政レベルでの選挙も行われない見通しであることから、政府は消費税の増税分の使い道を含めた社会保障制度の抜本改革に本格的に着手する。改革項目となるのは今月5日に社会保障制度改革国民会議が取りまとめた報告書内容である。
医療に関する部分については、現在、紹介状なしで大規模病院を受診した場合、初・再診を問わず一定額の負担を選定療養として、病院がその裁量で金額を決めて取り扱う仕組みがあるが、そこから更に踏み込んで、一定の定額自己負担を求めるような仕組みの検討が必要とし、また、国保の広域化や負担のあり方を従来の年齢別から能力別に切り替え、現役世代並みの所得がある人には応分の負担を求める。
合わせて70〜74歳の自己負担については、本則の2割に戻す。
フリーアクセスの基本は堅持しつつも、高齢社会に相応しい緩やかなゲートキーパー機能を導入して、医療の形をこれまでの病院完結型から病気と共存しながら、QOLの維持向上を目指す地域完結型医療に変わらざるを得ないと結論付けた。
尚、日本医師会の横倉会長は報告書について、国民に更なる負担を強いる内容や地域医療の混乱を招く恐れのある文言が盛り込まれていると懸念を示す一方、日医が主張して来た国保保険者の広域化や所得に応じた負担などが含まれたことを評価するとした。


「2014年版 日本医薬品集(医療薬)」のご案内
日常診療はもとより、審査会などでも使われている「日本医薬品集(医療薬)」の2014年版が8月に発売(予定)されます。
販売価格は税込12,900円(定価は13,650円)で、書籍購入者の限定特典として、本文全体を閲覧・印刷可能な「eBOOK」を書籍発行後にWEB上で公開する予定になっております。
本市では井上書店にて、送料無料で取り扱っておりますので、ご案内致します。
※お申し込み・お問い合わせ先 ⇒
  井上書店 小倉店
  小倉北区馬借2丁目1−29(市立医療センターの左壁側)
  電話:533−5005
  FAX:533−9789
  http://www.mm-inoue.co.jp 
  E-mail:kokura@mm-inoue.co.jp


医療裁判事例
平成13年12月、当時39歳の男性が高熱や頭痛を訴えて境港市内の診療所を受診。医師による診察の結果、急性気管支炎・急性上気道炎と診断をされ、消炎鎮痛剤などを処方され帰宅。翌日、意識不明となり、搬送先の病院で細菌性髄膜炎と診断され、後に死亡した。
男性の両親が細菌性髄膜炎で死亡したのは、最初にかかった診療所が見逃したのが原因だとして、診療所の理事長である男性医師に対し、7,440万円の損害賠償請求を求めた裁判で、1審の鳥取地裁米子支部は「感染症の専門家による鑑定結果などから、初診時に髄膜炎を疑うべきで、設備の整った医療機関に転送しなかった過失がある」として、医師に5,565万円の賠償を命じた。
7月31日、これを不服として被告側が控訴していた控訴審判決で、広島高裁松江支部の塚本裁判長は、別の専門家の鑑定結果をもとに「受診には意識障害やけいれんはなく、発熱や頭痛だけでは髄膜炎の兆候とは認められず、急性気管支炎などと診断したことは、当時の医療水準から不適切だったとは認められない」として、原告勝訴の一審判決を取り消し、医師に過失はなかったとして被告側勝訴の逆転判決を言い渡した。原告側はこれを不服として、上告する模様。
本件における最終判断もそうであったように、最近の医事紛争においては、事故が発生した際、その当時の医療水準である医療を適正に行われていたかということがポイントになっている。


行事予定
北九州ブロック医師会における「次期診療報酬改定説明会」を以下に予定しております。
*日時:平成26年3月25日(火)19時〜
*会場:アルモニーサンク北九州ソレイユホール(旧九州厚生年金会館大ホール)
    北九州市小倉北区大手町12−3