2012.6.6 第292号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



民主党の高齢者医療制度の見直し案、ポイントは70〜74歳の一部負担金問題
民主党はマニフェストに掲げていた高齢者医療制度の見直し案をまとめ、2015年度から実施するとした。不評であった年齢による区分は廃止し、先ず75歳以上の高齢者を都道府県単位に広域化した国保か被用者保険に加入させたうえで、第2段階として、2020年度を目途に、全年齢を対象とした都道府県単位による財政運営を行うというもの。
現在の民主党の力量や国会のねじれ状態、最低レベルの法案成立率という現状を勘案すると実現するためのハードルは高いと思われるが、問題はあまり表に出て来ない70〜74歳の一部負担金を本則の2割に戻すかどうかという点である。
70〜74歳の医療費の窓口負担は、自公政権時代の2006年に1割から2割へと法改正が行われたが、実施直前の2008年に、高齢者の反発を避けるねらいで凍結され、以降政権交代後の今日まで、毎年2000億円の予算を投じて、1割負担に据え置いてきた。
今回の高齢者医療制度の見直し案では、この点について、来年度の予算編成過程で検討を行うとしているが、岡田副総理や小宮山厚労相は来年度から本則の2割に戻すべきだとしており、また自民党の中にも小泉進次郎衆議院議員等、同様の意見を持っているものも少なくなく、本制度と別に実施される可能性もある。
日本医師会の中川副会長は民主党の意見聴取会において、「1割に据え置いている窓口負担が2割になれば、高齢者にとってものすごい負担感になる」として、引き上げに否定的な見解を述べている。