2012.2.21 第285号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



30人以上の事業場も産業医選任を
地域産業保健センター・産業保健推進センター・メンタルヘルス対策支援センターの再構築と、医師会の関わり方について検討してきた日医の産業保健委員会が報告書をまとめ、原中勝征会長に答申した。
2012年1月末現在で認定産業医が8万3426人となったことを受け、国に対し、労働者30人以上の事業場での産業医選任義務付けを求めていくべきと提言した。
同委員会は、地域産業保健センター事業の受託方式の変更や都道府県産業保健推進センターの縮減、メンタルヘルス対策支援センター設置などの労働衛生政策の急激な変化を踏まえ、2010年7月から検討してきた。報告書では、日医としての産業保健に関する基本的な考え方を示した上で、近年の労働衛生政策の変更事項に対する当面の方策や、今後の産業保健サービスの在り方に関する提案をまとめた。報告書は、50人以上の事業場で産業医を選任していないケースがあることから、国に対して労働基準監督署を通じ、産業医の選任義務に違反する事業場への是正勧告の徹底を求めていくことを提案した。また、郡市区医師会が地区ごとに保健師や労働衛生技術の専門職などと「産業保健支援グループ」を構築し、産業医を選任していない事業場への訪問や労働者からの健康相談などを通して、産業医が選任されるようにしていくことを提案した。


3月に予防接種週間を実施
日医は3月1〜7日の1週間を「2011年度子ども予防接種週間」として、保護者からの相談に応じるほか、休日に予防接種を受けられる態勢を取る。予防接種週間では、定期接種やHib(インフルエンザ菌b型)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、HPV(子宮頸がん予防)ワクチンなど予防接種全般で広報・啓発を行う。また協力医療機関や地域の予防接種センターで保護者からの予防接種の相談に応じるほか、通常の診療時間に予防接種を受けにくい人たちのために予防接種週間中は土曜・日曜も接種を受けられるようにする。
予防接種週間に併せて各都道府県医師会などでは市民講習会や地方紙への広告掲載を行っているほか、日医でも一般啓発用と協力医療機関向けのポスターを配布することにしている。


交通事故への健保使用率は2割 ―日医委員会が調査―
日医の労災・自賠責委員会はこのほど、会長諮問「地域医療再生における労災保険、自賠責保険の役割」に対する答申をまとめた。交通事故診療での健康保険使用率を調査した結果、全体の使用率は19.9%に上った。損害保険料率算出機構は2009年度の利用率を10.7%としており、大きな差が出た。2月8日の定例会見で藤川謙二常任理事が報告した。
調査は交通事故の患者をよく扱う医療機関3254施設に都道府県医師会を通じて依頼し、10年12月から11年2月までの患者を対象とした。回答があったのは1655施設。健康保険使用率を医療機関種別で見ると、病院全体で23.6%、診療所で10.8%となった。病院では国公立が31.3%、その他の病院が18.5%で、国公立病院で高かった。
交通事故診療で健康保険が使用される背景として答申では、健康保険よりも自賠責保険を優先的に適用するとの明確な規定がないためと指摘。


会員総数は16万5745人に ―日医会員数調査―
日医が年に1回まとめている会員数調査によると、2011年12月1日現在の会員数は16万5745人で、前年に比べて96人減少した。日医の会員数は前回調査で初めて減少し、今回調査で2年連続の減少となった。この結果、東京、静岡で代議員数が1人ずつ減少した。一方、埼玉、徳島はそれぞれ1人増えた。代議員総数は357人で増減はない。
会員数の内訳は、病院や診療所などの開設者らが該当する「A1会員」が8万4304人(構成割合50.9%)で、前年に比べて345人減少した。医師賠償責任保険加入の勤務医「A2会員(B)」は3万8227人(23.1%)で113人増、医賠責加入の研修医「A2会員(C)」は884人(0.5%)で14人増となった。
医賠責未加入の勤務医「B会員」は4万1626人(25.1%)で90人増、医賠責未加入の研修医「C会員」は704人(0.4%)で32人増だった。A2会員(B)とB会員を合わせた勤務医の会員数は7万9853人(48.2%)で過去最多を更新した。
都道府県別に会員数を見ると、増加したのは埼玉(96人増)、福岡(91人増)、愛知(73人増)、減少したのは東京(118人減)、福島(62人減)、北海道(56人減)、三重(36人減)などだった。
東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県はいずれも会員数が減少し、福島以外では岩手13人、宮城19人の減少となった。