2008.10.6 第230号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆アンケート調査結果を市医報10月号に掲載!◆◆◆

7月に北九州市医師会A会員に対して行った、レセプトオンライン請求義務化に関するアンケート調査結果を、市医報10月号に掲載します。レセプトオンライン請求義務化は、医療の崩壊を招くものであり、日医としては到底受け入れられるものではありません。手上げ方式で、というのが日医の方針です。
しかし、すでにレセコンのある病院では今年の4月からオンライン請求が開始されており、レセコンのある診療所でも期限の半年前である平成21年10月頃には対応にとりかからないと、間に合わないおそれがあります。そう、あと約1年間しかないのです!
日医の交渉にもかかわらず、レセプト枚数の少ない医療機関を除いて義務化が避けられない最悪のケースを想定し、平成22年4月に迫った、「レセコンを使用しているが、まだオンライン請求にほど遠い医療機関」を中心に、調査結果だけでなく、課題と対応方法もご紹介しています。
レセプトオンライン請求を行う、行わないにかかわらず、医療機関の現状を分析し、レセプト電算化、あるいはその先にあるオンライン請求を行う場合、どういう段取りが必要かを把握し、残された課題について、ぜひ、ご確認下さい。




◆◆◆ 苦情相談事例について ◆◆◆

本会に寄せられた苦情や相談の中から他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案⇒「重複受診について」(40代・女性)
※内容⇒試験を控えた中3の娘が、鼻水・鼻づまりや耳の閉塞感、咽頭痛等を主訴として、体調不良を訴えたので、朝、A内科医院に連れて行き、そこで「トミロン」「ロキソニン」「ダーゼン」の処方を受けた。
夕方近くになって熱は下がったものの、鼻水・鼻づまり、耳の閉塞感が強くなったということで、B耳鼻咽喉科医院を受診し、鼻に吸引処置を行ってもらい、フルナーゼ(副腎皮質ホルモン点鼻液)とアレジオンの処方を受けた。
翌日、A内科医院に再び受診をし、昨日の同院受診後にB耳鼻咽喉科医院を受診して、処置いただいた内容や追加された投薬の話をすると、先生がたいそう不機嫌になり、「フルナーゼなんかで鼻が溶けてなくなっても知りませんよ」と嫌味を言われた。
そんなに悪いことをしたのか?というもの。
※解説⇒試験前の娘さんの体調を一刻も早く治してあげたいという母親の気持ちは理解出来ますが、医療機関は患者さんに対して、それぞれ治療方針や治療計画というものを立てて治療にあたりますので、受診時と症状が大きく変わったとか、専門医で処置を施してもらった方が良いかも?と思った際には、先ず前医(内科医)に相談をすれば、適切な対応や専門医に紹介状等で連絡をとってくれるなどして、連携した、より円滑な治療が受けられたかも知れない旨を告げ、納得をいただきました。
ただ、ここで問題なのは、もちろんケースにもよりますが、あまり患者を怒鳴ったり、あからさまに不機嫌な態度をとったりすると、それ以降、患者が本当のことを言わなくなったり、隠しごとをしたりして、診療に弊害が生じる場合があることです。
最近、本会へ寄せられた苦情や相談の中でも、「なぜそのことを先生に言わなかったのか?」という問いに対し、「先生に怒られるから」「機嫌が悪くなるから」「言える雰囲気ではなかったから」「いつも忙しそうにしているから」といった理由で、患者側からの情報が充分に伝わっていないと思うことが非常に多いのが事実です。
例えば、「中耳炎で処方された薬(セフゾン)をちゃんと飲んでいるのに、いつまでも治らない」という苦情があったケース。よく聞くと、市販のマスチゲンS錠(鉄剤)を服用しており、そのことを先生には告げていなかった。(鉄剤によるセフゾンの吸収阻害が原因か!?)
また、今の若い人の中には、極端にコミュニケーションを取るのが苦手な人も多く、排尿痛から泌尿器科でクラビットを14日分処方されていることを「恥ずかしいから」と黙ったまま、腰痛で整形外科を受診し、ロルカムとミオナールを処方され、発作を起こしたという苦情もありました。(ニューキノロン系とプロピオン酸系の併用による副作用か!?)
いずれにしても、かつては保険証が紙のものだったため、他院での受診記録が記載されていましたが、今はカード化し、本人の申し出がなければ、他院での受診状況が分かりません。
はじめての患者にはアレルギー等の事前アンケート(問診)等を行ったり、また、いつも受診している患者は良いのですが、問題はたまにしか来院しない受診歴のある患者です。
こうした患者の場合、実は分かっているようで、何も分かっていなかったり、あるいは患者から言い出さなければ、直近の市販薬の服用や他院での受診状況の把握が結構ルーズになってしまうことがあります。
俗に、医事紛争に繋がる3不足として、「患者情報の収集不足」「医療情報の提供不足」「経過観察の不足」と言われます。事前の問診の徹底など、職員ともどもご留意ください。




◆◆◆入院時医学管理加算の届出機関数は延びず◆◆◆

株式会社じほうが独自に行った調査によると、今春の診療報酬改定において、改変された「入院時医学管理加算」の届出医療機関数は、当初厚労省が見込んでいた150〜170施設を大きく下回り、88施設にしか満たなかったことが分かった。(7月1日時点)
同加算については、点数の大幅な引き上げが行われた反面、届出基準も産婦人科・小児科の入院医療を提供できる医療機関とするなど、改変前と比べてハードルが高いものとなっていた。
同社によると、届出医療機関がゼロの都道府県が9県もある中、福岡県は大阪府の11医療機関に次いで10医療機関と、全国的にみても突出して多いとのこと。




◆◆◆ 短信 ◆◆◆

愛知県豊田市内にある診療所が、税理士事務所に経理業務を委託していたところ、税理士事務所の職員がインターネットバンキングを利用して廃棄物処理業者への正当な支払いに見せかけて、自分が開設したニセ口座に振り込みを行い、金銭を騙し取っていたことが発覚、詐欺の疑いで逮捕された。県警豊田署は当面の被害額は430万円だが、余罪があるものとみている。
インターネットバンキングは、銀行に行かなくても、自宅のパソコンや携帯電話を使って自分の口座から振りこみが出来るなど、便利なことから急速に広がっているが、パスワードを他人に知られたり、電話番号や生年月日、車のナンバーなど、容易に想像が出来るものに設定しておくと、今回の事件の様に簡単に不正送金が可能になってしまいます。ご注意ください。