2007.11.6 第216号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 保険委員会だより ◆◆◆

診療報酬請求において、会員より査定に対する質問が委員会に寄せられています。わかる範囲内を委員会で検討してお知らせ致しますが、委員会は審査会ではありませんので、ご参考としてお目通し下さい。
@創傷処理の真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行った場合、露出部〔顔面、頸部、上肢(肘関節以下)、下肢(膝関節以下、但し足底部を除く)〕の創傷に限り、真皮縫合加算は算定可能ですが、露出部であっても、頭部(前額部を除く)、眼瞼、指、手掌、趾、踵の真皮縫合加算は認められません。
A総コレステロール、LDL−コレステロール及びHDL−コレステロールの3項目を同時に測定した場合は、主たる2項目に限り算定可です。
B特定薬剤治療管理料を算定した場合、診療報酬請求書の「摘要」欄に、血中濃度を測定している薬剤名及び初回の算定年月日を記載することとなっておりますのでご留意ください。




◆◆◆ 次期診療報酬改定についての攻防が続く ◆◆◆

厚労省は今月2日、次期診療報酬改定を検討している中医協診療報酬基本問題小委員会に時間外患者の対応で疲弊している勤務医の負担を軽減するためには、開業医の支援が不可欠だとして、診療所の夜間診療の評価を引き上げる一方、初・再診料を引き下げる方針を提示した。具体的には各医院の診療時間に関係なく、午後6時以降の診療であれば、時間外加算の算定を可能にするなど、時間外診療の評価体系を見直すというもので、これにより現在この時間帯に救急病院や急患センターなどに向かっていた軽症患者の流れを地域の診療所に向かわせたいというもの。
また、病院における入院時医学管理加算の評価を充実して外来を縮小させ、地域の中核的な高度急性期総合病院の入院機能をより評価していくとする提案もなされた。
これに対し、同席した日医の竹嶋副会長と鈴木常任理事は初・再診料は医師の技術料として上げてしかるべきであり、また急性期病院を集約化・拠点化するようなことは看護師の7対1問題が今度は医師の方で再現されるのではないかと強い反対を主張した。
来春の改定に向け、今後も協議は継続していく。




◆◆◆ 塩酸メチルフェニデート(リタリン)の適正処方について ◆◆◆

県薬務課より、東京での向精神薬リタリンをめぐる事件に鑑み、適正処方についての通知がありました。ご留意ください。
*注意を要する事例(実際に報告された例)
1)「前の病院でリタリンを処方してもらっていた」「前の病院で脳波検査をしてナルコレプシーと診断されていた」等の訴えでリタリンを処方してもらおうとする。
2)詐病を装いリタリンを処方してもらおうとする。
3)複数の医療機関をかけもち受診する。薬をなくした、落としたと言って頻繁に受診する。
4)リタリンが処方された他院発行の処方せんの写しを持参し、安心させてリタリンを処方してもらおうとする。
*処方に当たっての注意
1)10月1日現在、リタリンはナルコレプシー及び抗うつ薬で効果が不十分な「難治性うつ病」「遷延性うつ病」に対する他の抗うつ薬との併用に限り効能効果として認められていますが、現在、国において「うつ」に係る効能効果の削除及び厳密な流通管理が検討されていますので、その動向にご注意ください。
2)患者からの求めがある場合は依存の可能性があります。
3)患者が他院で処方されていたと訴えた場合、あるいは他院発行の処方せんの写しを持参した場合は確認をお願いします。
4)連用により、薬物依存が生じることがあるので、観察を充分に行い、用量及び使用期間に充分注意をしてください。
5)自由診療であっても、安易に処方することは乱用や依存を助長することになりますのでリタリン処方の必要性を充分に検討してください。
※問い合わせ先⇒福岡県薬務課麻薬係:092−643−3287




◆◆◆ 短信 ◆◆◆

今般支払基金は、かねてより日本医師会が添付文書に記載がなくても、薬理作用に基づく医薬品の適応外投与を認めるよう求めていた問題で、レセプト審査で認めるケースとしてホームページ上に47事例を公開した。(HPアドレス⇒ http://www.ssk.or.jp/)
例えば、“アメジニウムメチル硫酸塩”(製品名:リズミックなど)の効能・効果は「本態性低血圧」「起立性低血圧」「透析施行時の血圧低下の改善」だが、「起立性調節障害」に対して処方した場合でも審査上認めるとした。