2007.10.21 第215号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 改正道路交通法の施行について ◆◆◆

先月より改正道路交通法が施行されていますが、そのポイントは飲酒運転への罰則が強化されたことであります。(いわゆる一般に“飲酒運転”と呼ばれるものには「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類があります)
改正法以前は医師が「酒気帯び運転」で逮捕された場合、医業停止3ヶ月の行政処分を受けるケースが多くありましたが、今回、懲役(1年から3年へ)、罰金(30万円から50万円)とも、大幅に引き上げられたことから、今後は逮捕内容(酒気帯び運転で起こした事故内容等)によっては、医師免許の取り消しなど、相応の重い処分が科せられることになります。
会員各位に「酒酔い運転」をされる方はおられないと思いますが、問題は「このくらいの量のお酒ならば大丈夫だろう」や夜中まで深酒をして少し眠った後、朝、自宅から医院まで車で向かう際などの「酒気帯び運転」です。
「酒気帯び運転」の基準は呼気中アルコール濃度が0.15mg/l以上であり、血中アルコール濃度0.03%に相当すると言われていることから本当に僅かな量の飲酒でも超えてしまう値です。
罰則が強化されたからしないというのではなく、今後の忘年会シーズンを前に、家族・従業員・友人にも呼びかけた飲酒運転防止の徹底をお願い致します。
尚、医師法第4条には「罰金以上の刑に処せられた者には免許を与えないことがある」と明記されており、現在厚労省はこの条文の厳格な適用を行っております。




◆◆◆ 苦情相談事例について ◆◆◆

本会に寄せられた苦情や相談の中から他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案⇒「特定疾患療養管理料について」(50代・男性)
これまで健康でほとんど医療機関にかかったことがなかったが、今秋の職場健診で要精密と言われ、2ヶ月ほど前から「高血圧性疾患」の診断にて2週間に1度、A医療機関を受診している。その医療費が急に高くなったので、窓口で確認をしたところ、「厚生労働省から示されている診療報酬点数表に基づき、今月から『特定疾患療養管理料』という項目が加わるようになったので、負担金が上がります」との説明であった。
しかしながら、毎回、血圧をはかって、薬をもらうだけなので、それだったら2〜3の医療機関をひと月ごとにローテーションして、毎回初診料を払った方が安いのではないか?というもの。
※解 説⇒医師会には毎日様々な苦情や相談が寄せられますが、今回の相談は「こういう考え方をする患者さんもいるのか」と驚かされました。
電話による相談の中でも言っておられましたが、この年代のサラリーマンの方で、ずっと医療機関にかかったことのない健康だった人は、かつて初診時に800円を払ったら、その後の外来医療費はかからなかった時代のことが強く記憶に残っていて、現在のように毎月の保険料を負担しているうえ、高額な一部負担金も支払わなければならないことに強い抵抗感を持たれています。
相談者には医療費のみに視点をおけば、そういう考え方もあるのかも知れないが、今後、加齢とともに、より病気となるリスクも高く、もしもの際の入院先を紹介したり、日常生活での予防・健康づくりといったこと等々、何でも相談出来る“かかりつけ医”を持つことが大切であること。また、慢性の病気は他の病気と比べて、より食生活や運動など生活上の注意を必要とし、服薬等についても多くの説明を要することから、医学的に注意を払うことが多いので、診療報酬上、設定されている項目だと説明をし、理解をいただきました。
この『特定疾患療養管理料』については、領収書の発行義務化以降、特に質問が増えています。
医療機関においては、患者さんに無用な疑問を抱かせないよう、今後とも要件を満たしたうえでの算定をお願い致しますとともに、患者さんから同管理料についての尋ねがあった際には、上記のような趣旨をご説明願います。




◆◆◆ 日医「診療所開設者の年収は必ずしも高くない」と反論 ◆◆◆

日医の中川常任理事は今月10日(水)、日医が実施した「診療所開設者の年収に関する調査」(2006年分)結果を公表した。
中医協の医療経済実態調査では個人立診療所の収支差額を根拠として、開設者の所得が不相当に高いといったことが一般紙に掲載されるが、今回の調査はその所得を他職種等と適切に比較することによって、言われている論調のとおりなのかを検証するために行われた。
調査は北海道・東京・山口・鹿児島の537診療所から回答を得、個人立診療所開設者の年収を勤務医師やサラリーマンと比較可能なように「手取り年収」で試算したところ、平均で1,070万円、最も高かった55歳から59歳でも1,470万円であり、この平均値は中小企業の経営者とほぼ同額であった。
また、45歳〜49歳で比較してみると、個人立診療所開設者と勤務医師の「手取り年収」は、ほぼ同じとなっていた。同常任理事は、個人立診療所開設者は地域において様々な社会的役割を担っているうえ、事業者としてのリスクや負債を抱えながら経営を続けていることを強調し、このようなことを考慮に入れれば、言われているように必ずしも高いとは言えないのではないかとの考えを示した。




◆◆◆ 短信 ◆◆◆

*中医協で日医が反発
日医の鈴木常任理事は、厚労省が今月17日(水)の中医協診療報酬基本問題小委員会に、後発品の銘柄指定の処方せんを受付けた薬局の在庫に指定銘柄がない場合などは、薬剤師が処方医に照会することなく、別銘柄の後発品を処方しても良いとする方向性を示したことに対し、「処方医に疑義照会をしなくても良いというのは問題であり、他の薬にかえられて問題が生じた際は誰が責任を負うのか?」と反論を行った。
また、同席した竹嶋副会長も「財政論だけで後発品を促進することがあってはならない。我々には患者に対する責任があり、この薬しかないので、これにしますということで良いのか慎重な対応を願いたい」と強い反対姿勢を示した。

*生活習慣病管理料は算定しない
中医協・診療報酬改定結果検証部会が行った「生活習慣病管理料」に関する調査結果(全国1,500医療機関を抽出、有効回収数640件)によると、「今までに一度も算定を行っていない」との回答が80.8%を占めた。
その理由としては「点数が高く、患者の負担増につながるから」(53.4%)が最も多く、次いで「療養計画書を作成することが手間だから」(13.2%)であった。