2007.1.6 第202号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 銀行融資利率の変更について ◆◆◆

昨年夏の日本銀行による金利の引き上げを受け、福岡銀行・西日本シティ銀行・佐賀銀行が融資利率の引き上げを行う中、山口銀行については当面据え置きとなっておりましたが、同行についても1月18日(木)より基準金利が2.125%(金利は上記3行と同じ)に改定されることとなりましたので、お知らせ致します。




◆◆◆ 苦情相談事例について(1) ◆◆◆

本会に寄せられた苦情や相談の中から他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案(1)⇒「後発医薬品がないと言われたのに実際にはあった」(40代・男性)
昨夏、胃部の不快感を主訴として、近所の内科を受診し、後発医薬品の処方を希望したところ、この薬(アプレース)の適応と同じ後発医薬品はないと言われたが、最近、知り合いの医療関係者から後発医薬品があることを聞いた。
先生は本当に知らなかったのか、それとも後発医薬品を出したくなかったのか?
※解説⇒近年、厚労省や保険者団体が医療費の削減を目的として、積極的に後発医薬品の使用を促す一方、一部の医薬品には先発品と後発品の間に適応のズレがあることから、審査において適応外処方となってしまうケースが問題となっている。
こうした適応の相違は、先発品の持つ特許の関係やメーカーの都合で適応を取得できない場合があったが、そのズレを極力解消するため、厚労省は各メーカーに対し、追加の承認申請を行うよう通知を行い、昨年の7月以降はかなりの部分が解消されたという経緯がある。
照会の「アプレース」(杏林)についても、当初は後発品である「プララース」(東和)や「アニトラール」(長生堂)には、『胃潰瘍』の適応しかなく、「アプレース」にある『次の疾患の胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫)の改善:急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期』の適応がなかったが、現在は追加で取得している。
問者が受診したのは夏頃だったということだから、後発医薬品が適応の追加を受ける前だった可能性が高いが、ただ先頃発売されたばかりの「日本医薬品集2007年版」にも追加適応の記載が間に合っていないくらいなので、ご指摘のとおり先生が本当に知らなかったということも否定は出来ないとした上で、いずれにしても疑問がある場合には医療機関の窓口に遠慮なく尋ねてほしいということを説明し、納得をいただいた。
こうしたトラブルを防ぐため、医療機関においては前出のとおり、最新の医薬品集にも追加適応が間に合っていない薬もあることから、よく使う薬や後発医薬品を強く希望する患者の処方にあたって不明な点があれば、必ず薬局やメーカー等に確認をいただきます様お願い致します。




◆◆◆ 苦情相談事例について(2) ◆◆◆

※今回の事案(2)⇒「治療法を患者に求められるので困る」(70代・男性)
昔から血圧が高く、20年近くにわたり近所のA医院にかかっているが、最近大先生(父親)が引退をして、若先生(息子)に代わったところ、検査や治療方法について、その都度患者に選択や決定を求められるが、正直よく分からないので、毎回応えに困っている。
大先生よりも丁寧に説明をしてくれるものの、治療に自信がないのかなぁ(笑)?というもの。
※解説⇒本会には毎日厳しい内容の苦情が寄せられているが、今回の問者は苦情というよりは笑いながらの微笑ましい話であった。
医師は極めて高度な専門性を必要とする職業であることから、かつては医師の判断が患者にとっても最高の治療であるとされて来たが、近年社会環境の変化や患者ニーズの多様化(病気に対する考え方の違いや仕事や商売の関係、経済上、宗教上の理由など)から、この考えに加えて、必ずしもその患者にとって最高の治療ではないかも知れないが、患者の視点に立って、患者の望む方法(患者自身による意思決定)で治療を進めようという動き(バイオエシックス)が普及して来た。
若先生はそれを実践しているのではないかと説明を行ったうえで、決して自信がないから責任逃れのために患者に決定を求めているのではないこと、そして正直よく分からない場合には、かかりつけ医の先生を信頼して先生の判断にすべてを任せることも患者自身による意思決定のひとつであることを話し納得をいただいた。