2006.12.6 第201号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 苦情相談事例について(2例) ◆◆◆

本会に寄せられた苦情や相談の中から他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案1⇒「薬が合わない!?」(50代・女性)
職場の健康診断にて、自覚症状はないが、生まれてはじめて血圧が高いと指摘を受けたので、内科を受診し、カルスロットを処方された。
これを朝食後に飲むと一時的に気分が悪くなるので、院長に申し出たところ10mgから5mgに減量されたが、症状はあまり変わらないようだ。
カルスロットというのはちゃんとした薬なのか?いわゆるジェネリック医薬品というものなのか?というもの。
※解説1⇒はじめにカルスロットは武田薬品が製造している高血圧症に適応のある薬で、ジェネリック医薬品ではないこと、またこれまでにも広く使用され、多くの治療効果を上げている薬であることを説明した上で、他の医療機関から出された薬や市販薬を服用していないかを尋ねたところ、一切飲んでいないということであった。
それから日常生活や職場での身の上話的なことを長々と聞いていると、半年ほど前から同僚に勧められた霊芝(レイシ)を飲んでいることが分かった。
霊芝はサルノコシカケ科に属するキノコで、テレビで人気キャスターが勧めたり、有名人を起用したCMの影響もあってか、中高年を中心に飲用者が増えているものである。
ただし、問者に尋ねても免疫力が向上すると聞いたから・・・と応えるだけで、詳しいことはほとんど知らないようであったので、霊芝には血液凝固抑制作用や血圧低下作用もあることを説明し、直ぐに両方とも服用を中止して、主治医に相談をするように伝えた。
最近は健康ブームで、昼間のテレビで健康に良いと紹介された食材が夕方のスーパーで品切れになるというほどテレビの影響力は大きく、またTBSの番組で白インゲン豆がダイエットに良いと放送された直後から、下痢や嘔吐の苦情がテレビ局に多く寄せられ、問題となったことも記憶に新しい。(加熱調理法が徹底されていなかったため)
結局、今回の事案の原因やその後の経過は不明ですが、医薬品の相互作用はもとより、サプリメントや健康食品、民間療法が治療に影響を及ぼしているケースも増えておりますので、充分にご留意ください。

※今回の事案2⇒「インフルエンザの予防接種料金について」(60代・男性)
医療機関はインフルエンザのワクチンを1,000円程度で購入していると聞いたが、実際に窓口で支払う料金が、その4〜5倍になるのはなぜか? また、早く受けない(流行し、ワクチンの数が減ってくる)と値段が高くなるというのは本当か?
※解説2⇒問者には一定の理解があり、予防接種が保険診療の対象ではないため、一般診療のような公定価格が存在しないということは理解されているが、原価の4〜5倍というのは高いのではないか?自分が以前に住んでいた山口の医療機関では2,500円位だったというもの。
ご指摘のとおり、私費による予防接種の場合は自由料金であり、全国の医療機関の中には地域の事情や過去のインフルエンザの発生状況などを勘案して、住民の関心と啓発を兼ねるために、政策的に低料金で実施しているところもあるようだが、一般的にはワクチンは事前の問診が重要で、通常診療の中、時間をかけて副作用の説明等を行い、また日々接種の技術や知識の向上にも努めていることから、こうした技術や作業等々を保険点数に換算して料金を決めているので、価格自体が高いか安いかというのは主観の問題にもなるが、適正ではないかと説明をし、理解をいただいた。
また、インフルエンザが流行し、ワクチンの残り数に対して需要が上回った場合、料金が高くなるのか?という問いについては、通常接種料金は予め窓口に提示をするなどして決めているので、営利目的の商品とは異なり、考えにくいのではないかと応えた。
窓口で同様の照会があった際に、ご参考ください。
尚、本会では実施要領に最低料金を提示しておりますので、この基準に沿って実施くださる様ご協力をお願い致します。




◆◆◆ 短信 ◆◆◆

日大大学院の研究科グループが1日(金)に行われた日本医療経営学会学術集会において、後発医薬品への変更処方せんに関する調査結果を発表した。それによると「効果が弱い」「副作用が発生した」など、2.2%の処方せんに何らかの不具合が生じ、先発品に戻すなどの措置を講じたとのこと。
また、不具合の代表的な例として「イトリゾール」(一般名:イトラコナゾール)を後発品に変更したところ血痰が発現したため、服用を中止した事案が紹介された。