2006.10.6 第198号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 一人医師医療法人のゆくえ ◆◆◆

先月27日(水)、税理士法人山田&パートナーズの医療事業部より鈴木克己マネージャーをお招きして、今年度第1回目の「北九州市医師会医業経営講演会」を開催致しました。
「一人医師医療法人のゆくえ」と題した当日の講演では、今次の医療法改正により解散時の残余財産の帰属方法が変更となったことから、新規の届出については、今秋が従来制度による最後の届出になるということで、法人化すべきかどうかを判断するポイントなどについて説明があった。
また、それ以上に受講者の関心が高かったのは、新制度上では持分のない医療法人に移行することが求められているものの、『当分の間』は存続することが認められている、いわゆる既存の一人医師医療法人化施設が今後どうなるのかということである。
これはもともと政府の規制改革会議が財界の意向をバックに、医療への株式会社の参入を求めて来た際に、医療は非営利という原則を貫いて反対した結果、ならば事実上の配当にあたる残余財産は出資者に還元されるべきではないという指摘を受け、厚労省が今回のような改定に踏み切った経緯がある。
で、その肝心の『当分の間』というのが、いったいどれくらいなのか?ということについては、現時点では定められておらず、今後の政省令を待つこととなるが、識者においては2つの考え方が示されている。
ひとつは新制度との公平性を勘案し、新しい立法制度(例えば次回医療法の改正時など)が出来るまでの経過措置という考え方で、もうひとつは既得権を考慮した半永久的な措置という考え方である。
鈴木マネージャーは、私見としたうえで、「この既得権を剥奪すると、財産権の侵害や憲法違反にまで発展するという意見もあり、医療法人制度そのものが根幹から変わるようなことがない限り、自分は半永久的な措置として施されるという風に考えている。また、この『当分の間』という言葉は、法律用語として、様々な条文にもよく登場する言葉で、我々のいる税務の世界でも、終戦直後の条文に『当分の間』と書かれているものが、今日まで続いているものもある」と紹介した。
そして、「万が一、何らかの急激な情勢の変化等で、早期に経過措置がなくなるようなことがあれば、いくつかの対応措置はあるので、現時点で慌てる必要はない」と楽観的な考え方を示した。




◆◆◆ 看護師への暴言等について ◆◆◆

最近、患者が発する暴言などに傷ついて心因反応を起こしたり、ストレスを抱える看護師・補助者が増えています。
こうした患者の多くは、医師や看護師長には比較的素直な患者なのだが、立場が弱かったり、おとなしい看護師・補助者に対しては暴言を吐いたり、わざと処置や食事内容等々にクレームを付けるなどして、トラブルを起こします。
明らかに刑法に抵触する様な暴力行為等があれば、対応は簡単なのですが、毎日の嫌味や嫌がらせだけでは、当事者の心痛は察するものの、なかなか立件するには難しく、こうした患者の扱いに困っている医療機関も多いようです。
全国的にも同様な事案が多く報告されている現状を受け、日頃は医療を消費者の視点からとらえ、「賢い患者になりましょう」をキャッチフレーズに活動を行っている「NPO法人ささえあい医療人権センター」(通称=COML)が、今般医療者の苦悩や迷いといった本音を明らかにすることで、改めて患者と医療者に何が必要かを考えるべく「医療者のホンネと悩みホットライン」を期間限定で設置することになりました。
ご参考までにご紹介致します。
「医療者のホンネと悩みホットライン」〜医療現場の生の声をお寄せください〜
ホットライン専用電話番号 06−6365−6225
受付期間 *10月14日(土)10時〜19時
       *10月15日(日)10時〜19時
       *10月16日(月)10時〜17時
尚、「COML」が、どういう団体なのかについて、詳しくお知りになりたい方はホームページをご覧ください。
アドレス ⇒ http://www.coml.gr.jp/




◆◆◆ 道路交通法違反と医業停止について ◆◆◆

現在、飲酒運転による事故が続発し、また事故に繋がらずとも、違反による検挙者が後を断たない状況ですが、医師の場合、飲酒運転はもちろんのこと、大幅なスピード違反や信号無視など、道路交通法に違反し、罰金刑に処せられた場合、その内容によっては医業停止などの厳しい処分が科せられますので、ご注意願います。
医師免許については、もともと医師法の第4条に「次の各号のいずれかに該当する者には免許を与えないことがある」と規定されており、その第3項に「罰金以上の刑に処せられた者」とあります。
昨今、医療事故の多発化や医師によるモラルを欠いた事件などを契機として、医師に厳格さを求める社会風潮が高まっていることから、この条文を厳格に適用しようとする傾向と、厚労省の医道審議会が平成14年にまとめた「医師に対する行政処分の考え方」を基本として、医師に対する厳罰化の流れが確立しつつあります。
たかが、道路交通法違反と侮ることなく、充分にご注意を願います。