2006.7.21 第195号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 調剤薬局に対する指導について ◆◆◆

以下の指摘事項は、最近、福岡県下の調剤薬局に対して行われた個別指導の内容です。
薬剤師には薬剤師法第24条による処方せん交付医に対する疑義照会の義務があることから、医療機関においても、調剤薬局への指導内容には充分に留意する必要がありますので、ご参考ください。
1)処方内容に対する確認や疑義照会がされていない事例
 ・用法が承認内容と異なるもの⇒ナウゼリン、プリンペラン、グルコバイ、ベイスン、
 ・ボナロンが食後に投与されている
 ・ビオフェルミンR(抗菌剤の併用がない)
 ・ユニフィルが1日2回朝夕処方(1日1回夕食後)
 ・アリセプト錠3mgが2週間以上継続して使用
 ・パキシル錠が1日3回で使用
 ・シングレア錠が朝食後で使用
 ・ディオバンの高カリウム血症と思われる患者への処方
2)使用制限のある薬品の確認が不充分なもの
  ・タケプロン、パリエット、オメプラール
3)漫然と長期にわたって使用されているのに確認のないもの
  ・セロクラール、サアミオン、サノレックス
4)その他
  ・倍量処方、1日量の制限を超えているものなど
注)資料参照=福岡県薬剤師会発行「ふくおか県薬」より




◆◆◆ 苦情相談事例について ◆◆◆

本会に寄せられた苦情の中から他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案⇒「ジェネリック医薬品に変えてから蕁麻疹が出るようになった」(20代・女性)
※内容⇒父親がかかりつけの胃腸科でジェネリック医薬品に変えてもらったところ、薬代が安くなったので、自分もかかっている内科で変えてもらった。原因が薬かどうかは分からないが、最近皮膚アレルギーが出るようになった。
ジェネリック医薬品というのは、新薬と同じ成分で同じ効き目の薬ではないのか。
※解説⇒先ずは何よりも早く医師に報告をし、アレルギーの原因が薬にあるのかどうかの診断を受け、本来の疾患とともに治療することを勧めた。
そうした上で、先発品と後発品では、いわゆる添加物が異なるので、人によっては薬を変更したことによりアレルギーが起こることも考えられること、また錠剤などの形状が変わり、特に高齢者などからは飲みにくくなったという声もあること等々を説明し、理解をいただいた。
頻繁に流されるテレビCMの影響もあってか、患者はどうしてもコストのことだけに頭がいきがちだが、現実にはこのような苦情も多く寄せられているので、患者からジェネリック医薬品についての依頼や照会があった際には、ぜひこうした点もあわせてご説明をいただきたい。




◆◆◆ 官僚の手口 ◆◆◆

今回、診療報酬の引き下げとともに様々な医療改革が施されたが、その中にあって最も衝撃が大きかったもののひとつが療養病床の再編問題である。
しかしながら、その手法が官僚による詐欺まがいなものであったことが西島参議院議員の指摘により分かった。
西島議員によると、事前に国会議員に対して行われた説明では、療養病床の再編問題の発端となった中医協による「慢性期入院医療実態調査」で、療養病床における医師の直接医療提供頻度が「ほとんど必要ないが50%前後」「週に1回程度が33%前後」で、合わせて「80%以上が入院医療の必要性がない患者」ということであったが、後日、生の調査票を調べ直したところ、調査の質問内容は「医師の指示見直しの頻度」であるにも関わらず、説明資料では「医師がどのくらいの頻度、患者を診ているか」に摩り替えられていたことが分かった。
また、そもそもこの実態調査の本来の目的は、診療報酬にコストをしっかり反映させるために入院料は病状によって看護がどれくらい大変なのかを調べるタイムスタディ調査であったはずなのに、それがいつの間にか医療区分1〜3になり、1には医療が必要ないし、医師が患者を診ていないと、目的外利用されたという。
社会保険庁が年金政策の失敗により支給年齢を65歳に引き上げざるを得なくなった一方で、それを糊塗するため、企業に定年を65歳まで延長を義務付けたように、ひどいやリ方である。
西島議員は日本医師会と連携をはかりながら、医療改革関連法案が成立した際に、盛り込んだ付帯決議、すなわち「療養病床の医療区分の調査を行い、その結果に基づき必要に応じて適切な見直しを行うこと」を生かして、今後運用面で対応するとしているので、その動きに期待したい。




◆◆◆ 胃検診でバリウムを飲んで死亡 ◆◆◆

今月3日(月)、山口県岩国市の胃集団検診で、バリウムを飲んだ女性(85歳)が腸内でバリウムが固まり、腸閉塞を起こし死亡した。
検診では通常量の150ccを飲み、検診後に下剤も飲んだが、翌4日(火)朝に腹痛を訴え、病院に搬送されるも手術後、6日(木)に死亡した。
本件については、昨年11月に厚生労働省より「医薬品・医療機器等安全性情報219号」にて、重篤な副作用等に関する情報として、消化管閉塞や腸管憩室のある患者は禁忌・慎重投与であることは言うまでもなく、高齢者に対しては消化管運動機能が低下していることが多いため、バリウムの停留により消化管穿孔・腸閉塞・バリウム虫垂炎等の重篤な転帰をたどることがあるので、検査後の排泄については充分に留意することが警告されていた。
尚、同通知には基本的注意事項として、@患者の日常の排便状況に応じた下剤投与を行うこと A迅速にバリウムを排出する必要があるため、充分な水分の摂取を患者に指導すること B患者に排便状況を確認させ、持続する排便困難、腹痛等の消化器症状があらわれた場合には直ちに医療機関を受診すること C腹痛等の消化器症状があらわれた場合には腹部の診察や画像検査を実施し適切な処置を行うことが明記されておりますので、ご参考ください。
尚、詳しくは「日本医師会雑誌1月号」2067ページをご参照いただくか、各メーカーにお問い合わせください。