2006.5.21 第192号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 後発医薬品への変更率について ◆◆◆

日本薬剤師会は今次の診療報酬改定で導入された新たな処方せん様式に関する調査を実施することを発表した。
調査は後発医薬品への変更を可とした処方せんの割合やその場合の先発医薬品、後発医薬品の使用割合などを調査する予定。
これに先立ち、日本保険薬局協会の三津原副会長は自社の「日本調剤株式会社」の事例として、処方せん全体の約15%が後発医薬品への変更を可とした処方せんだったことと、そのうち13%程度が実際に後発品に変更になっていることを明らかにした。




◆◆◆ 苦情相談事案について ◆◆◆

本会に寄せられた苦情の中から、他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案⇒院内で起こった高齢患者の転倒骨折について(50代・女性)
※内容⇒足の不自由な父(83歳)がA内科医院を受診し、点滴を受けて、ベッドから起き上がろうとした際に、付き添って支えてくれる体制をとっていた看護師が、足がぐらっとして揺らいだ父の体重を支えられずに、そのまま一緒に転倒をし、父が肘を骨折した。
 処置室内での事故であり、骨折の治療費等は医療機関で負担してもらいたいというもの。
※解説⇒電話による話を聞いただけで判断できるような問題ではないので、不満な点や要望を整理し、先ずは医療機関に申し出ていただくよう伝えた。医療機関では申し出を聞いた上で、医療機関側からの言い分を伝え、紛争化するようならば、各区医師会の方にお申し出ください。
最近、院内における高齢者の転倒事故が急増しており、本会にも多くの報告が寄せられております。
このようなケースの場合、一般的に事故が予測できないような不可抗力による場合には、医療機関の責任は問われないとされておりますが、施設設備に明らかな不備があった場合、例えば、清掃直後の廊下がまだぬれていて滑りやすく、特にその旨の警告を表示した注意書き等も貼っていなかった場合や以前から椅子がぐらぐらして安定感が悪く、複数の患者から指摘を受けていたにも関わらず、そのままにしていたために、それが原因で転倒骨折に繋がったというような場合には責任を問われる可能性が高くなります。
また、患者の管理状況、すなわち今回の様に、処置室で患者の対応をするために付き添いの看護師がいたにも関わらず、転倒骨折に繋がってしまったようなケースも微妙です。
以下、本会に報告された具体的事例と留意点を列記致しますので、転倒骨折や打撲が増加している現状を認識いただき、スタッフともども足の不自由な高齢患者の受診には細心の注意をいただきますようお願い致します。
 @「廊下の段差につまずき転倒した」⇒段差があることの注意書きや呼びかけが必要か。
 A「下駄箱があるにも関わらず、患者が玄関に靴を脱ぎっぱなしにしていたため、杖がその靴の一部にひっかかって、バランスを崩し転倒した」⇒スタッフがちょっと下駄箱への靴の整理整頓を行うだけで防げたかもしれない事案。
 B「雨の日の濡れた玄関(スロープ)で滑って転倒した」⇒雨天は特に事故が起きやすい。
 C「鎮痙剤を接種後、待合室で新聞を読みながら検査待ちをしていたときに、名前を呼ばれ、立とうとしたら“ふらっ”となって転倒をした」⇒鎮痙剤には目の調節障害等の副作用があることを充分に説明し、安静状態で待機させていれば、防げたかもしれない事案。
 D「診察室や処置室のベッドに柵(手すり)等のつかまるものがなかったため、起き上がる際に無理をしようとして転倒した」⇒最も報告の多い事案。各医療機関で何らかの工夫が必要。
 E「前の患者に続いて帰ろうとした際に、閉まりかけた玄関の自動ドアに挟まれて(押されて)転倒した」⇒患者さんにはお気の毒であるが、医療機関にとっては不可抗力の事故と思われる。
 F「杖の先の滑り止め用ゴムが磨耗していたため、廊下で杖の先が滑って転倒した」⇒余裕があれば、高齢患者の使っている杖などに、たまに目をやることも必要か。