2005.12.21 第185号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 老人診療報酬は原則廃止か ◆◆◆

21日(水)、厚労省は中医協に対し、来年4月の診療報酬改定で現行の老人診療報酬を原則として廃止する考えを示した。
 現在、老健法に基づく老人診療報酬は原則75歳以上が対象で、「寝たきり老人在宅総合診療料」(在総診)など、一般の診療報酬にはない独自の点数が設定されている他、療養病棟の「入院基本料1」(1日あたり1209点)と「老人入院基本料1」(同1151点)など、診療内容が同じ項目でも異なる点数設定になっていることが問題視されている。
 政府は平成20年度に、現在の入院中心の後期高齢者の医療を在宅にシフトすることを目的として、新たな高齢者保険制度と診療報酬体系を構築することを決めているが、厚労省はこれを待たずに、来年の改定から老人診療報酬の点数を原則として廃止するとしている。
 尚、同じ項目で生じている一般と老人の点数格差については、原則として一本化し、具体的な点数については、両点数の幅の中で調整を行う方針。
 ただ、医療費の適正化に向けて在宅医療の充実が重要な要素となることから、在総診などは存続させる考えで、介護保険との整合性も合わせて検討するとしている。




◆◆◆ 次期診療報酬改定について ◆◆◆

次期診療報酬改定については、小泉首相の強い意向から本体部分がマイナス1.36%と、過去最大になることが発表されたが、その具体的な内容については、中医協の診療報酬基本問題小委員会の方で検討が進められている。
厚労省はその中で、現在、患者の紹介率によって医療機関の初診料に加算をする「紹介患者加算」を廃止したいとする考えを示した。
同省の麦谷保険局医療課長は、その理由として、「現行の仕組みが複雑であり、また本来の目的である医療機関の分化にもさほど繋がっていない」とし、「次期改定では大病院への紹介なし受診(初診)を自費とする検討も行っていることなどから、紹介率によって機能分化を促す必要がなくなる」としている。
また、「診療情報提供料」や「医療安全対策」「コンタクトレンズに関わる診療の見直し」等についても改めたいとし、「診療情報提供料」については現在「病―診」「病―病」など情報の受け渡し施設の違いによって点数に格差が設けられているものを“基本点数”と“情報の内容によって上乗せする点数”の大きく2分類に簡素化した方向で改められることが検討されている。
「医療安全対策」では、安全管理委員会の設置などがすでに恒常化していることから、こうした一般的な対策を義務化とし、入院基本料の算定要件にする方針がすでに固まっているが、専任の安全管理者の配置など、追加的な対策を講じている医療機関には別途に評価することを検討している。 また、コンタクトレンズに関わる診療については、屈折異常といった疾病の自覚症状がない利用者に対する定期検査は保険の適用外とする方針。




◆◆◆ 裁判事例 ◆◆◆

今月15日(木)、福岡高裁の中山弘幸裁判長は、平成12年9月、当時53歳の女性が胃の不快感を訴え、田川市の病院を受診して検査を受けた際、看護師が喉に麻酔薬のスプレーを吹き付け、医師が内視鏡を使用した直後に呼吸数が低下し、約2時間後に死亡した事案の控訴審判決で、損害賠償請求を棄却した福岡地裁の判決を変更し、遺族の約9,300万円の請求に対し、約5,700万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
同裁判長は、胃の内視鏡検査を受けた直後に死亡したのは、麻酔薬のショック症状に対し、適切な処置を怠ったことが原因だとし、「死因はショックによる心不全との蓋然性が高い」と認定。
また、救命措置の経過に関する記録が残っていない点を「何らかの不自然さをぬぐうことができない」と指摘したうえで、「医師が適切に治療すべき注意義務に違反したと推認できる」と結論付けた。




◆◆◆ 医師とケアマネジャーとの合同研修会の開催について ◆◆◆

平成18年度に介護保険法の改定が予定されており、 新介護予防給付や地域包括支援センターを始めとした地域支援事業等、様々な新制度が創設されます。 今回の改正では医療と介護の連携が特に重要視されており、中でも“かかりつけ医”と“ケアマネジャー”との緊密な連携が必要とされております。
このような中、北九州市医師会では市保健福祉局と共催で、下記のとおり「医師とケアマネジャーとの合同研修会」を開催する事と致しました。 当日は医師・ケアマネジャー・在宅介護支援センター等の代表者によるシンポジウムを開催後、各行政区毎に 意見交換会を開催致します。 出席をご希望の方は各区医師会宛にお申し込み下さい。
尚、医師側の定員総数は100名で、各区医師会毎にも定員数がありますので、参加は先着順とさせていただきます。
   ※日時:平成18年1月14日(土)14時〜16時30分
   ※会場:「ウェルとばた 多目的ホール」戸畑区汐井町1−6 電話871−7200
   ※内容:シンポジウム(14時〜15時20分 多目的ホール)
        各区別意見交換会(15時35分〜16時30分 各会議室)
   ※主催:北九州市医師会・北九州市保健福祉局介護保険課