2005.9.21 第181号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 次期診療報酬改定について ◆◆◆ 小泉総理より「郵政民営化後の改革は財政再建だ」と指示が出されており、その中心となるのは社会保障費の抑制だと言われているようだ。
また、財務官僚の多くは、診療報酬改定の目安とされる人事院勧告や消費者物価指数がずっと低下傾向にあるにも関わらず、診療報酬の本体自体が引き下げられたのは2002年改定の時だけだということを問題としており、与党圧勝の勢いに乗じて小泉総理のブレーンである経済財政諮問会議や財政制度審議会の意向を一気に反映させたいという考えを強く持っている。
具体的には財政支出の抑制を目的とした公的医療保険の範囲を縮小する策として、「食費やホテルコストの自己負担化」「後発医薬品が存在する先発医薬品を使用する際には、その価格差部分を保険給付の対象外とする」「一定金額までの保険免責制の導入(自己負担額が一定金額以下の場合は保険が適用されず全額自己負担)」といったことが検討されはじめている。
こうした状況を見て、医療保険問題に詳しい日本福祉大学の二木 立(にき・りゅう)教授は「経済財政諮問会議が執拗に導入を求めている医療費伸び率管理制度は、骨太の方針2005で棚上げされたが、今回の小泉自民党の圧勝で復活する可能性がある。この地滑り的勝利で2006年改定はマイナス改定となるであろう」と指摘、具体的には療養病床の利益率が一般病床よりも高い点を挙げ、「慢性期医療の引き下げが焦点となるのではないか」と予測していることを19日(月)に行われた全日本病院学会の講演の中で語った。
同教授はその理由として「従来の財務省の手法からして、先ず高いところをたたくという傾向があるからだ」としている。




◆◆◆ 苦情相談事案について ◆◆◆

本会に寄せられた苦情の中から、他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案⇒医療機関の発行する領収書について(60代・男性 他)
※内容⇒「総合病院では明細書が付いた綺麗な領収書をくれるが、近所の内科医院ではスーパーのレシートよりも貧弱なものに、合計金額だけ記載したものをくれるだけである。医療機関からもらう領収書の様式がバラバラなのはなぜか?」
※解説⇒これは年間を通してよくある質問です。ご承知のとおり、厚生省通知(平成12年3月31日付保発67号)では、患者からの求めがあれば、領収書の発行を行わなければならないが、明細書についてはいわゆる努力目標であり、また決められた様式もないことを説明し、質問者には納得をいただいた。
尚、行政機関等に同様の質問を行った場合には、「領収書を発行しないケースについては、加入している保険者にその旨を告げること」「受診日や支払金額、発行医療機関名といった基本項目がないようなレシート(領収書)を発行された場合は、当該医療機関に確定申告で使用することを告げたうえで、必要事項が記載された領収書の発行を求める」ような指示(回答)がなされているようである。
合わせて、「領収書の再発行を求められた場合」については、本ニュースの第169号(2005年2月21日号)をご参照ください。




◆◆◆ 明細書付き領収書の発行について ◆◆◆

9月5日(月)、診療報酬を所管する厚生労働省保険局の麦谷医療課長は、医療経済研究機構主催のシンポジウムの中で次期診療報酬改定についてふれ、患者が受けた医療の中身が分かる明細付きの領収書を発行する医療機関に対し、何らかの点数加算を検討していることを明かした。
現在、医療機関における明細書の発行は領収書と異なり努力義務規定であるため、事務負担がかさむ等の理由から、総額や大まかな内訳しか示していないケースが多い。
厚労省ではこうした現状に鑑み、請求ミスや水増し請求を防止するとともに、患者が自分の受けた診療内容と費用を確認できる環境を整えたいとしている。
また、同課長は医療機関側に対しても、診療報酬改定の告示内容(点数表)を電子媒体等を通じて無料提供することにより、手間や負担を軽減して、明細書を発行しやすい環境を整えたいとしている。




◆◆◆ 医業経営講演会の開催について ◆◆◆

「分かりやすい節税対策と税務調査への対応」をテーマとして、本会主催による医業経営講演会を下記のとおり開催致します。
当日は事前にいただいている質問、「必要経費についての最新の考え方や税務調査での最近の傾向について教えてほしい」「一人医師医療法人における役員報酬のあり方(考え方)について」「決算直前の診療報酬収入を計上する場合は、請求ベースで計上した方が良いのか」「医業収入が伸びない中での法人化のメリットは」等々について、出来るだけ分かりやすい解説を加えながら、進行する予定にしております。
従いまして、税務が苦手という方もぜひ多数お誘い合わせの上、ご参加ください。
尚、準備の都合上、参加希望者は事前に電話(513−3811)かFAX(513−3816)にて参加人数のお申し込みをお願い致します。(入場無料、従事者の参加も可)
*日時:平成17年10月6日(木)午後7時〜
*会場:小倉医師会館4階(小倉北区中島1-19-17)
*内容:1.「経営リスクを軽減する保険活用」野村證券
      2.「開業医のためのやさしい税務」〜税務対策の実例や税務調査への対応を中心として〜
            中央青山監査法人 公認会計士 石井和夫先生