2005.7.6 第177号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 北九州地域医療体制あり方専門委員会が答申 ◆◆◆

昨年4月に、本市における良質で効率的な医療提供体制のあり方を検討することを目的として設置された「北九州地域医療体制あり方専門委員会」が1年3ヶ月にわたる検討の結果を取りまとめ、6月30日(木)に提言書を末吉市長に提出した。
同委員会は関原前県医師会長を委員長に、市医師会や保健福祉局、市内10病院の代表により構成され、これまで3回の委員会と同委員会に設置された幹事会(6回)、各種部会により検討を続けて来た。
報告書では、全国的に自治体病院の再編や見直しが進む中、市内4市立病院のあり方について触れ、門司病院については「現在8つある診療科を稼動率などの状況等を加味して再編し、結核及び療養病床に特化する」ことを提言、医療センターについては「高度専門医療を担う基幹病院として、より入院機能を充実させ、その機能を明確化すべく特定機能病院を目指すなど、機能特化のモデル病院とする」、八幡病院については「救急医療に機能特化した病院とするとともに、老朽化に伴うハード面の整備については、現在の八幡東区に総合医療を提供できる病院が他にあり、また受療者が八幡西区や遠賀郡などの西部地域に多いことなどから、立地を含めた病院のあり方を検討する」、若松病院については、「区内唯一の総合医療を提供する病院として、引き続き維持するとともに、小児科や産婦人科など、不足する医療機能の充実が必要」とした。
報告書では他に、民間病院を含めた医療機関の連携推進やリハビリ機能の強化に向けた委員会などの組織を設置すること及び市民に分かりやすい医療情報の積極的な公開を呼びかけている。
尚、今後、アクションプランに基づき、答申を実現するための検討が引き続き行われる。




◆◆◆ 保険委員会だより ◆◆◆

診療報酬請求において、会員より査定に対する不満が委員会に寄せられています。
わかる範囲内を委員会で検討してお知らせ致しますが、委員会は審査会ではありませんので、ご参考としてお目通し下さい。
・薬剤の使用にあたっては、適応病名にご留意願います。
例1)硫酸アミカシン注射液(アミノグリコシド)の急性扁桃炎の適応はありません。
例2)フオイパン錠の急性膵炎の適応はありません。
例3)セフメタゾールナトリウムの感染性腸炎の適応はありません。
・同じ効能の抗アレルギー剤を2剤同時投与することは認められませんので、ご留意下さい。
・手術に際しての消毒薬等の算定は手術料に含まれるので、別途算定はできません。
・ノイロトロピンやフランドルの適応病名を充分ご確認下さい。




◆◆◆ 苦情相談事案について ◆◆◆

本会に寄せられた苦情の中から、他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案⇒入院患者の照会について(50代・男性)
*内容⇒「はじめに自分の住所と名前を名乗った上で、同級生A氏がB病院に入院をしたので、見舞いに行こうと思い、『○○町○番○号に住んでいるA氏がそちら(B病院)に入院をしていると思うので、見舞いが入れ違いとならないよう、今度の日曜日の外泊予定と病室を教えてほしい』と尋ねたところ、『個人情報保護法の関係から教えられない』と言われたが、どこの病院もそういう対応なのか?」というもの。
*解説⇒入院施設をお持ちの医療機関には、遠方からせっかく見舞いに来たのに、外泊で患者がいなかったということがないよう、患者の友人や職場関係者から、こうした照会があるものと思います。
本年4月より全面施行となった個人情報保護法の趣旨は、氏名や住所、生年月日等により、特定の個人が識別されることを避けるためのものです。
従って、本件の場合は照会者が自分の住所や名前を名乗り、すでにA氏という特定の個人がB病院に入院をしているという事実を知った上で、外泊中の見舞いをさけるために患者の外泊予定と病室番号の照会を行っているだけであり、病状内容等を尋ねているわけではないので、照会者に対して回答を行っても問題があるとは思われませんが、こうしたトラブルを避けるためには、患者が入院をする際の諸説明の中で、あらかじめ病室外に掲示するネームプレートの設置や入院確認の照会があった際の回答について、患者本人の意向を確認し、その意向に沿った対応を心がけることがより良いものと思われます。
また、各スタッフによってバラバラな対応とならないよう、共通認識をさせることも重要です。




◆◆◆ 短信 ◆◆◆

・厚労省が昨年実施した「患者特性調査」の結果がこのほどまとまり、6月30日(木)に開催された中医協で報告された。それによると、医療保険適用病棟の入院患者4,868人のうち、入院日数が180日を超えていたのは2,160人(約44%)。更に、このうち特定療養費の対象となっている患者は246人で、長期入院患者に占める割合は11.4%であった。
・厚労省医政局の発表によると、医師臨床研修が義務付けられた16年度の研修医の平均年収は365万3,496円で、義務化前の15年度(264万5,810円)に比べ、100万7,686円アップしている。これは同省が約700の臨床研修病院等の7,300人の研修医の給与を調査したもの。