2005.6.6 第175号

FAX北九医ニュース 北九州市医師会広報委員会



◆◆◆ 保険委員会だより ◆◆◆

診療報酬請求において、会員より査定に対する不満が委員会に多く寄せられています。
わかる範囲内を委員会で検討してお知らせ致しますが、委員会は審査会ではありませんので、ご参考としてお目通し下さい。
・蛋白分画測定を実施の際は、適応を確認の上、実施願います。
・CRPのみで判定可能にも関わらず、血沈とCRPの併用が多数の症例で行われている場合がありますので、ご留意下さい。
・薬価収載後1年を経過していない新薬の投与は14日以内が原則となっていますので、ご注意ください。薬価基準収載日の属する月の翌月の初日から起算して1年を経過すれば投与期間の上限がなくなります。例えば薬価基準収載が平成17年3月18日であれば、平成18年4月1日からの長期投与が可能となります。
・「消化性潰瘍の疑い」だけで、ヘリコバクターピロリの検査は認められません。胃内視鏡検査やX線検査による確定診断が必要です。




◆◆◆ 苦情相談事案について ◆◆◆

本会に寄せられた苦情の中から、他院でも参考となるような事例を紹介させていただくコーナーです。
※今回の事案⇒カルテ開示に伴う費用の請求について
*内容⇒A院の診療内容に疑問を持ったので、カルテの開示を要求したところ、3,000円もとられたというもの。
*解説⇒4月の個人情報保護法の施行以降、新聞や雑誌に頻繁に特集記事が掲載されたということもあり、カルテ開示に対する一般市民からの問い合わせが増えています。
今回のケースの場合は、開示自体に対する対応についてのトラブルではなく、患者さんが無料だと思い込んでいたところ、高額な料金を請求されたので、不満を持ったという訴えです。
@「個人情報の保護に関する法律」の第30条には、手数料を徴収することが出来ることが定められていること A今回の相談者が求めた開示期間分のコピー代とその事務のためにかかった費用(事務職員の時間計算)を勘案すると、妥当な請求であることを説明して納得をいただいたが、詳しく聞いてみると、すべて口頭のやりとりで、日医のマニュアルに添った対応が行われていないことが分かった。
マニュアルには患者さんから開示請求がなされた際の対応として、書式を定めた書類のやり取りを行うことが記載されているが、その際、こうした無用なトラブルを避けるために、費用がいくらくらいかかるということを記載し、あらかじめ開示請求に対する回答書として伝えることとなっている。
今後、カルテの開示請求は更に増えることが予想されるので、今一度ご確認を願いたい。




◆◆◆ 適応外投与問題について ◆◆◆

現在、薬価基準に収載されている医薬品で、薬理作用があるにも関わらず、適応がないため、保険適応とならない薬剤については、いわゆる昭和55年通知(昭和55年9月3日付け保発第51号)に基づき、審査会の医学的判断によって保険適用とする取扱いがなされております。
今般、日本医師会より、この取扱いをより確固たるものとするべく、こうした具体的な事例を調査・収集し、その結果を踏まえた形で厚生労働省に働きかけていきたい旨の通知がありました。
つきましては、下記「記載例」以外で、薬理作用があるにも関わらず、適応がないため、保険適応とならない薬剤の適応、用法、用量等がありましたら、各区医師会宛にご連絡ください。
*例1 高脂血症へのリピトール錠の投与
    (成分名:アトルバスタチンカルシウム、適応症:@高コレステロール血症 A家族性高コレステロール血症)
*例2 糖尿病性腎症へのブロプレス錠の投与
    (成分名:カンデサルタンシレキセチル、適応症:@高血圧症 A腎実質性高血圧症)




◆◆◆ 障害者自立支援法について ◆◆◆

現在、第162通常国会が開催されているが、流れて来るニュースは郵政民営化の問題ばかりであり、その紛糾から19日(日)に迫った会期も延長が必至であると言われている。
こうした騒動の陰に隠れてしまい、あまり大きく報じられることがないが、衆議院にて経過中の法案の中に「障害者自立支援法」というのがある。
これは現在ある「精神通院公費」「更生医療」「育成医療」を統合して、新たに「自立支援医療制度」を創設し、これまでほとんど不要であった医療費の自己負担を本年10月1日から原則1割負担として、施設利用については食費負担も求めるというもの。
更に、一定以上の所得がある場合には、医療保険と同様に3割負担になるという。
自己負担の大幅アップに対し、厚生労働省は「政省令で、きめ細かい低所得者対策を定める」としているが、身体325万人、知的46万人、精神258万人の計629万人の障害者に大きな影響が出ることは必至である。
今後、細部を煮詰めていく中で、激変緩和措置や重度者の軽減措置がどのような形で施されるのかが注目される。
尚、野党による審議拒否などもあり、全体的に法案の審議が遅れていることから、当初10月1日とされていた施行日が少し遅れる見通しである。




◆◆◆ 大手後発医薬品メーカーが好調 ◆◆◆

後発医薬品メーカーについては、国立病院の法人化や病院のコスト意識の高まりを追い風とした市場の拡大、長期投薬の解禁、有名タレントを使ったCMの効果等々もあり、各社とも年々売上が順調に伸びるという決算書を築いて来ているが、大手4社については引き続き今期も揃って売上増になる見通しだ。{東和薬品265億円(対前年度比7%増)・沢井製薬261億円(対前年度比12%増)・日医工246億円(対前年度比34%増)・富士製薬101億円(対前年度比4%増)}