事業計画&重点項目


令和3年度 北九州市医師会事業計画

令和2年は東京オリンピック・パラリンピックの開催もあり、誰もが希望に胸を膨らませる一年となるはずであった。 しかしながら、新年早々国内で1例目の新型コロナウイルスの感染が確認されると、瞬く間に全国へと感染拡大し、社会・経済は機能不全となって、国民生活は混乱を来した。 当初はこの未知のウイルスの前に、有効な知見がなく、感染対策用の防護具も逼迫する中、対応にあたる医師らは疲弊し、深刻な風評被害、過度の受診控えから医業経営は危機的な状況に陥った。 こうした苦難の一年を経てもなお厳しい状況が続いているが、かつて経験したことのない未曾有の国難ゆえに、我々はこれまで以上に医師としての高度な倫理観と矜持を持って結束し、国民の命と健康を守るべく、率先してその使命を果たし、この国家的危機を乗り越えていかなければならない。 北九州市医師会は令和3年度においても引き続き当面する最大の課題である新型コロナウイルス感染症への対応・対策に英知を結集し、行政や関係機関との連携を一層強化しながら全力で取り組む。 一方コロナ禍により中断していた2040年に向けた持続可能な社会保障制度改革議論が再開した。 国が掲げる「人生100年時代」を真に実現するためには国民の健康が欠かせず、引き続き国民皆保険の下で、過不足なく医療を提供できる体制が必要である。 感染対策と社会・経済活動の共存を模索しながら、給付と負担の両面から世代間の公平性を確保し、医師会主導で全世代型社会保障制度改革を実現すべく、県医師会とともに日本医師会の政策・活動を支援していく。 また、過度な受診控えが疾病の早期発見早期治療の機会を逸し、症状の悪化を招いている現状から、新しい生活様式を踏まえて、受診者が不安なく医療や健診を受診できる環境を整え、市民の命と健康を守るための保健・医療・介護施策の推進に取り組む。 特に、その中心的役割を担う「かかりつけ医」の機能強化や支援を通して、ライフサイクルに応じた生涯保健事業の実施をはじめとした予防・健康管理等の充実に注力し、市民の健康寿命の延伸をはかる。また行政や関係機関と連携し、高齢者や障害者に切れ目のない医療・介護・福祉を提供すべく地域包括ケアを推し進め、住民らと共に地域共生社会の実現を目指す。更に地域の実情に応じた効率的な医療提供体制の構築を目的とした地域医療構想をより有効で機能的なものとするため、各区医師会との連携をより深化させ、問題意識や課題の共有をはかる。 少子化対策ではペリネイタルビジットや新たに取り組む産婦健康診査等を通した子育て支援の充実に加え、医療的ケア児や発達障害児に対する個別的かつ複合的な支援ニーズに対応していくため、保健や障害福祉・保育・教育機関等、多様な職種と協働し、医師会としての役割を担う。 毎年の市民意識調査において、常に要望・評価がともに高い救急医療については、病院や専門医会との連携をはかりながら会員の協力を得て、市民が昼夜を問わず、安心した生活が送れるよう、万全の体制を整備する一方、適正受診に対する啓発にも努める。また絶えず「災害はいつどこで起こるかわからない」という危機感をもって、災害医療対策に取り組む。 北九州市医師会は令和3年度も市民が生涯を通じて、心身ともに健康で豊かな生活を送れるよう、引き続き各区医師会や専門医会・産業医科大学等との連携を強化し、工夫を施しながら効率的な会務の運営に努め、市民生活の根幹を成す社会保障制度の充実に専心するとともに、重点項目をはじめとした事業項目の推進に邁進する。


令和3年度 北九州市医師会重点項目


1.新興感染症対策
今回の新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、県医師会や市行政との話し合いを重ね、検査体制の拡充、医療提供体制の構築を議論しているところである。5月よりPCR検査センターの業務委託を受け、出務医の手配や検査体制の充実を図ってきた。また9月より市と市医師会の集合契約を行い開業医、民間病院のPCR検査、定性抗原検査を開始した。この事によって、より迅速に新型コロナウイルス感染者の診断、隔離治療が行え、感染拡大、重症化の防止に繋がっていると考えている。 引き続き、新型コロナウイルス感染症対策の協力医療機関や帰国者・接触者外来の医療機関との話し合いを通して、北九州地域の感染状況に応じた病床を確保し、医療提供体制の構築を図る。
2.医の倫理と医療安全対策
会員が医師としての高度な倫理感と矜持をもって、日々の診療や地域活動に取り組むよう、世界医師会の「医の倫理マニュアル」、日本医師会の「医の倫理綱領」及び「医師の職業倫理指針(第3版)」、福岡県医師会の「よりよい医療を目指して」等を周知し、医師としての職業倫理指針を示すとともに、自浄作用を活性化させる。また日本医師会医師資格証の普及を通して、会員意識の高揚と医師としての使命感や職業倫理の醸成をはかる。安心安全な医療は医師と患者・家族の信頼関係の根幹を成すものであり、引き続き、医師・従事者へ「医療安全対策研修会」「ハートフル研修会」等、市医師会や県医師会が開催する研修への積極的な参加を促し、患者の安全確保と医療の質の向上を最優先とした医療安全対策の推進に取り組み、市民の医療への信頼を一段と高めていく。
3.生涯教育の充実
医師が最新の医療技術や知見を習得し、自身のスキルアップや安全対策、患者との信頼関係の醸成等をはかるため、これらを支援すべく生涯教育の充実に取り組む。専門医会や関係機関と連携して、時流にそった医学的・医療的テーマの選定を行い、より多くの医師が生涯学習に参加できるような体制を構築するとともに、多様な履修環境を整え、日医生涯教育制度の申告率・達成率の向上を図る。またコロナ禍における新たな研修体制のあり方についても検討を行う。
4.地域医療提供体制の充実
より効率的な医療提供体制を構築していくためには、各区医師会との更なる連携強化が必要であり、特に外来医療計画や病床の機能分化と連携の推進については、絶えず市と区が情報を共有しながら、医師会での忌憚のない議論と検証を経て、地域医療構想調整会議を活性化させていく。また現場に即した内容や時流に沿ったテーマを取り上げた研修会を開催し、地域の医療・介護に取り組む医療機関や従事者を支援し、地域医療の更なる充実と質の向上をはかる一方、北九州市や関係機関と連携し、障害者施策や難病・発達障害者支援にも注力する。地域医療の重要な担い手となる看護師の養成について、学校間における情報や課題の共有を推進し、引き続き、その在り方について検討する。
5.救急災害医療対策
夜間休日急患センターやサブセンターへの出務等、初期救急医療に積極的に協力するとともに、二次・三次救急、周産期及び小児救急医療にも注力するなど、市民からの需要と期待・関心が高い救急医療の充実に努める。一方、関係機関と協働しながら、市民の適正な救急受診に対する啓発活動にも積極的に取り組む。またコロナ禍における救急医療のあり方や時代に即したものとするべく、引き続きより良い制度に向けた検討を行い、救急医療提供体制の効率化・安定化をはかる。近年、大地震や台風、集中豪雨等、各地で災害が頻発に発生する中で、会員や関係機関に対し、「医療救護計画」の周知徹底をはかるとともに、緊急連絡網訓練の実施や災害医療研修等を通して、医師や従事者等の災害医療に対する意識を高め、有事の際の災害医療に関する知識と技術の向上に取り組む。
6.少子高齢社会対策に向けた取り組み
少子高齢社会が一段と進行する中、かかりつけ医を中心とした多様な職種や機関との連携による対策を支援するとともに、医療・介護等の専門職が効率的に連携をし、患者や利用者の視点から切れ目のないサービスの提供を目的に取り組んでいる北九州とびうめネット事業を促進し、地域包括ケアを進め、地域の実情に即した医療・介護提供体制の構築に努める。また、医師や医療・介護従事者を対象とした各種研修会の開催を通して、質の向上や高齢社会対策の担い手となる人材の育成をはかるとともに、社会的課題となっている認知症に対し、北九州市と連携して予防や啓発・生活支援等の対策に注力する。乳幼児・園児に携わる医師や関係機関を対象とした研修会を通して、質の向上をはかるとともに、乳幼児健診やペリネイタルビジット、産科健康診査をはじめとした子育て支援の充実の他、虐待予防や医療的ケア児、発達障害児への対応に取り組む。
7.地域保健活動の推進
北九州市や関係機関と連携し、予防接種や感染症対策の他、乳幼児期から学童期・青年期・壮年期・老年期に至るライフサイクルに応じた生涯保健事業を実施し、またアレルギー対策を含めた学校保健活動や職域における健康等に取り組む。治療ばかりでなく、人生に寄り添う医療が求められる中、特定健診・特定保健指導やがん検診を充実させるとともに、生活習慣の改善等の行動変容を促すなど、市民の健康づくりを支援し、現役世代からの健康づくり対策や高齢者への介護予防を推進し、市民の健康寿命の延伸をはかる。昭和56年以来、我が国の死因第1位であるがんについては、行政や関係機関と連携し、啓発の徹底や受診率の更なる向上をはかり、国のがん対策推進基本計画の3本柱である「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」を推進する。喫煙対策については、国の社会的気運の醸成を目的としたスローガン、「受動喫煙のない社会を目指して」の下、法に基づく望まない受動喫煙をなくすための対策に取り組むとともに、喫煙率自体の減少にも努める。更に各区医師会と一体となって、地域産業保健センター事業の推進を通して産業保健の充実に取り組む。
8.勤務医活動の支援
勤務医医学研究助成論文事業を実施し、勤務医の研究活動の支援に取り組むとともに、県医師会や日本医師会との連携、情報交換、医学集談会の開催等を通して、開業医との連携の促進に努める。北九州専門医レジデント制度や研修医歓迎レセプション、研修医症例報告事業等を実施し、研修医の支援をはかり、本市における医師の安定的な確保をはかるとともに、引き続き勤務医・研修医の入会促進と医師会活動への積極的な参画を呼びかけていく。また、国が進める「医師の働き方改革」については、日本医師会の「医師という職業には自己研鑽や学びが内包する特殊性の他、地域における事情やそれぞれの医療機能に応じた多様な働き方があることを踏まえた上での医師の健康と地域医療の充実を両立させる」という基本理念を支持し、その実現に向けた取り組みを支援する。
9.男女共同参画事業の推進
女性医師が抱える問題を医師会全体で共有し、対応していくための一環として開催している「男女共同参画推進部会研修会」をはじめとした活動をより充実させるとともに、行政や関係機関との連携をはかりながら、女性医師がより働きやすい環境作りに取り組む。また、地域における女性医師指導者の育成をはかるとともに、引き続き女性医師が医師会活動に積極的に参画できるような体制づくりを検討する。
10.広報活動
市医報、北九医FAXニュース、ホームページ等の充実を通して、必要な情報の迅速な提供に努める。また、県医師会と連携して市民への医師会活動の周知をはかるとともに、医師会への理解を高めていくための情報発信方法等について検討を行う。
11.公益社団法人としての適正運営
公益社団法人としてふさわしい会務の運営や公益目的事業の円滑な遂行を通して、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与し、また法人の安定的な運営をはかる。
12. その他