事業計画&重点項目


平成31年度 北九州市医師会事業計画

今年度は第1次ベビーブーム世代がすべて後期高齢者となる「2025年問題」への対応に加え、その次に来る第2次ベビーブーム世代の4,000万人が高齢者となり、高齢化のピークを迎えるとされる「2040年問題」に向けた対応をも視野に入れた中長期的課題への取り組みが必要な1年となる。
急速に進む人口の動態変化による少子高齢化への対応は、引き続き当面する最大の課題であり、安倍総理は昨年秋の臨時国会での所信表明演説において、これまで2度にわたり先送りして来た10%への消費増税を本年10月より実施することを決めた。
国民に対しては、子どもから現役世代、お年寄りまで、全ての世代が安心できる社会保障制度へと、今後3年をかけて改革を進め、女性も男性も、若者も高齢者も、障害や難病のある方も、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会の実現を呼びかけた。
ここに2013年の三党合意(民主(当時)・自民・公明)により設置された社会保障制度改革国民会議が社会保障制度を維持・充実させていくためには、痛みも伴うことを国民に求めた「社会保障と税の一体改革」が、5年の歳月を経て、ようやくその実現に向けて動き出した。
今回の消費増税は社会保障制度の充実と財政の健全化により、国民の抱く将来不安を払拭するためのものであり、受益と負担の関係を明確にしつつ、増税が決してネガティブなものではなく、結果、国民一人ひとりが「確かに安心して社会保障が受けられるようになった」と実感できるものとしていくことが何より重要である。
北九州市医師会は政府の掲げる「全世代型の社会保障制度」が決して聞こえのいいスローガンで終わることがないよう、福岡県医師会や各区医師会と連携して必要な財源を確保し、日本医師会が掲げる「予防医療の積極的な推進による健康寿命の延伸」や「持続可能な医療保険制度」「国民にとって必要とする医療が過不足なく受けられる社会」等の実現に向けて日本医師会を支援していく。
一方、本市においては、引き続き、保健・医療・介護の安定的な確保をはかるべく、その中心的役割を担う「かかりつけ医」の機能強化や支援をはかるとともに、特定健診やがん検診等をはじめとした各世代における予防・健康管理等の充実に一層注力し、市民の健康(幸)寿命の延伸に取り組む。
各区医師会をはじめ、行政や関係機関と連携し、高齢者や障害のある方に充実した医療・介護を提供する他、生活支援等、切れ目のない施策を推進し、地域包括ケアを一層推し進めるとともに、地域の実情に応じた効率的な医療提供体制の構築を目的とした地域医療構想をより実効可能なものとするため、各区医師会と問題意識や課題を共有しながら取り組む。
また、ペリネイタルビジットや健診等を通した子育て支援の充実に加え、北九州市が医療的ケア児や発達障害児に対する個別的かつ複合的な支援ニーズに対応していくために、関係機関と取り組む保健・医療・障害福祉・保育・教育等の施策の一層の推進に積極的に協力をし、医師会としての役割を担う。
更に、市民の関心が高く、安全で安定的な体制が求められる救急医療については、昨年10月からの新たな初期救急医療体制をより充実させるべく、病院や専門医会との連携を一層深化させ、市民が昼夜を問わず安心した生活を送れるよう注力する一方、適正な受診に対する啓発活動にも努める。
北九州市医師会は平成31年度も市民が生涯を通じて、心身ともに健康で豊かな生活を送れるよう、健康(幸)寿命の延伸をはかり、「真の健康長寿社会」の実現に向けて英知を結集し、重点項目をはじめとした事業項目の推進に邁進する。


平成31年度 北九州市医師会重点項目


1.医の倫理と医療安全対策
日本医師会の「医の倫理綱領」及び「医師の職業倫理指針(第3版)」、福岡県医師会の「よりよい医療を目指して」等を周知徹底し、医師の自浄作用を活性化させて、医の倫理の向上をはかるとともに、日本医師会医師資格証の普及を通して、会員意識の高揚と医師としての使命感や高度な職業倫理の醸成を促進し、市民の医療への信頼を一段と高めていく。また、医師・従事者への情報提供や「医療安全対策研修会」「ハートフル研修会」等、市・県医師会が開催する研修への積極的な参加を促し、患者の安全確保と医療の質の向上を最優先とした医療安全対策の推進に取り組む。
2.生涯教育の充実
個々の医師のスキルアップや自己研鑽の支援、医学・医療の発展、医療安全対策、患者との信頼関係の醸成等を目的として、引き続き生涯教育の充実に取り組む。また、専門医会や関係機関との連携を通して、時流にそった医学的・医療的テーマの選定を行い、より多くの医師が生涯学習に参加できるような体制を構築するとともに、多様な履修環境を整え、日医生涯教育制度の申告率・達成率の向上を図る。
3.地域医療提供体制の充実
2025年問題、またその先にある2040年問題への対応に向けて、県医師会や地区医師会、北九州市と連携し、保健医療計画をはじめとした各種計画を確実に遂行していくための取り組みや効率的な医療提供体制の構築を目的とした地域医療構想を実行していくための医療機関間における機能分化や連携の推進、必要な在宅医の確保等について、注力する。医療・介護の連携を推進し、患者や利用者の視点に立った相談事業の強化や切れ目のない地域包括ケアを進め、厚労省が進める地域の実情に即した医療・介護の総合的な確保に取り組む。また、現場に即した内容や時流に沿ったテーマを取り上げた研修会を開催して、地域の医療・介護に取り組む医療機関・従事者を支援し、地域医療の更なる充実と質の向上をはかる。更に、北九州市や関係機関と連携し、障害者施策や難病・発達障害者支援の推進に注力する。
4.救急災害医療対策
夜間休日急患センターやサブセンターへの出務等、初期救急医療に積極的に協力するとともに、二次・三次救急、周産期及び小児救急医療にも注力するなど、市民ニーズの高い救急医療の充実に努める一方、関係機関と協働しながら、市民の適正な救急受診に対する啓発活動にも積極的に取り組む。また、「急患センター・サブセンター」「病院における初期救急医療確保事業」「二次応需業務」「在宅当番医制業務」について、時代に即した制度とすべく、引き続き再構築に向けた検討を進め、より効率的な救急医療提供体制の構築をはかる。近年、大地震や台風、集中豪雨等、各地で災害が頻発し、今やどこで大災害が発生するか分からない状況の中で、会員や関係機関に対し、「医療救護計画」の周知徹底をはかるとともに、緊急連絡網訓練の実施や災害医療研修等を通して、医師や従事者等の災害医療に対する意識を高め、災害医療に関する知識と技術の向上に取り組む。
5.少子高齢社会対策に向けた取り組み
少子高齢社会が一段と進行する中、地域における医療・介護を総合的に確保するため、引き続きかかりつけ医を中心とした多職種協働による地域包括ケアシステムの構築を推進するとともに、北九州市をはじめとした関係機関との協議を通して、医療と介護のより効率的な医療提供体制を構築するための検討を行う。また、医師や医療・介護従事者を対象とした各種研修会の開催を通して、質の向上や高齢社会対策の担い手となる人材の育成をはかるとともに、社会的課題となっている認知症に対し、北九州市と連携して予防や啓発・生活支援等の対策に取り組む。乳幼児・園児に携わる医師や関係機関を対象とした研修会を通して、質の向上をはかるとともに、乳幼児健診やペリネイタルビジットをはじめとした子育て支援の充実や医療的ケア児・発達障害児への対応に取り組むための検討を行う。
6.地域保健活動の推進
北九州市や関係機関と連携し、予防接種や感染症対策、虐待防止、周産期医療の充実、乳幼児・母子保健対策、アレルギー対策を含めた学校保健活動等に引き続き取り組むとともに、特定健診・特定保健指導やがん検診を充実させ、受診率の更なる向上をはかり、現役世代からの健康づくり対策や高齢者への介護予防を推進し、市民の健康寿命の延伸を目指す。また改正健康増進法の基本的な考え方に基づき、受動喫煙防止対策や喫煙率の減少に努める。更に、地域産業保健センター事業等へも各地区医師会と一体となって、その推進に取り組む。
7.勤務医活動の支援
勤務医医学研究助成論文事業を実施し、勤務医の研究活動の支援に取り組むとともに、県医師会や日本医師会との連携、情報交換、医学集談会の開催等を通して、開業医との連携の促進に努める。北九州専門医レジデント制度や研修医歓迎レセプション、研修医症例報告事業等を実施し、研修医の支援をはかり、本市における医師の安定的な確保をはかるとともに、引き続き勤務医・研修医の入会促進と医師会活動への積極的な参画を呼びかけていく。また、国が進める「医師の働き方改革」については、日本医師会の「医師という職業には自己研鑽や学びが内包する特殊性の他、地域における事情やそれぞれの医療機能に応じた多様な働き方があることを踏まえた上での医師の健康と地域医療の充実を両立させる」という基本理念を支持し、その実現に向けた取り組みを支援する。
8.男女共同参画事業の推進
女性医師が抱える問題を医師会全体で共有し、対応していくための一環として開催している「男女共同参画推進部会研修会」をはじめとした活動をより充実させるとともに、行政や関係機関との連携をはかりながら、女性医師がより働きやすい環境作りに取り組む。また、地域における女性医師指導者の育成をはかるとともに、女性医師が医師会活動に積極的に参画できるような体制づくりについて、引き続き検討を行う。
9.広報活動
市医報、北九医FAXニュース、ホームページ等の充実を通して、必要な情報の迅速な提供に努める。また、県医師会と連携して市民への医師会活動の周知をはかるとともに、医師会への理解を高めていくための情報発信方法等について検討を行う。
10.「十四大都市医師会連絡協議会」の開催
全国の大都市医師会が共有する問題を検討するために、毎年各都市が持ち回り担当で開催をしている「14大都市医師会連絡協議会」について、今年度は本会が担当する。課題を共有し、情報交換や協議が参加医師会にとって実りあるものとなって、それぞれの都市における保健・医療・介護の充実・発展に繋げられるよう、協議会の成功に向けた対応に取り組む。
11.公益社団法人としての適正運営
公益社団法人としてふさわしい会務の運営や業務の円滑な遂行を通して、安定的な運営をはかる。
12. その他